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2010年5月4日。JAQUWA/寂和は、3年ぶりに支援先のベトナム中部トランコンアイ中学校を訪れ、約200人の子供たち、校長先生、教職員、地元の公務員、 村人の皆様の前で演奏をさせていただき、加えてその後の交流会を通して、変わらぬ友情を確かめあい、絆を深めて参りました。

アジアの貧しく学校で学ぶことの出来ない子供たちに、音楽を通して、何か出来ることは、ないだろうか?そんな素朴な想いからスタートしたこの小さなプロジェクトも気づけば、 早3年の歳月が流れ、4年目に突入しました。

今までどれだけたくさんの人から励ましの応援メッセージをいただいてきたことだろう?
その時々のみなさんからいただいた想いへの感謝の念を改めて噛み締めながら、新たなメンバーと共に、3周年という記念すべき日をお祝いし、 かつ、ベトナム人との絆を深め、これから未来に向けて末永く継続していく祈りをこめて今回のツアーに望みました。

今から丁度1000年前、西暦1010年中国(当時の北宋)から独立した、ベトナム初の王朝李朝がタンロン(昇竜)という名称で、初めてベトナムの 首都として、建都されたハノイ。
今回のツアーは、この1000年の記念すべき都からスタートしました。

ハノイから国内線の飛行機で約1時間。19世紀初頭にフランスの支援の元、誕生した初のベトナム統一王朝。グエン王朝が都を置いたフエへ移動。

フエからラオス国境に向けて、車で約3時間。のどかな田園風景が360度のパノラマで広がる牧歌的な光景の先に人口約3000人の小さな農村地区のビントゥコミューンはあります。

温暖湿潤の気候から稲の三期作が可能となるベトナム中部の広大な田園風景の中で、村の人たちが手作業で一本、一本、丁寧に稲の刈り取りを 行っていく穏やかな光景を眺めていると、さながら日本のかつての原風景にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。

しかし、ほんの約40年前の1960年〜70年代。アメリカとのベトナム戦争によって、圧倒的な爆撃、そして枯葉剤によって壊滅的な打撃を受けた このベトナム中部には、無数の墓標があり、それらが歴史の悲劇を物静かに、そして、重々しく今に語り伝えています。

今回のツアーメンバーは、今回初参加で沖縄出身のアーティスト、JACKEROO'S代表の新垣朝一さん、前回も参加しているベーシストの三田貴之さん、今回初参加のコンポーザー兼キーボーディストの永原和将さん、 同じく初参加でL-Bird Music代表プロデューサーの神威零那さん、そして、僕の5人。

それぞれのメンバーが今回のツアーへの期待と不安の入り混じる想いを胸に秘めつつ、不思議な縁で結ばれて現地を訪れました。

機材を満載にした車両がゆっくりと舗装道路から農道に曲がり、30分ほど進んだ先に茶色の壁で囲まれレンガの門の上に白い看板がある見覚えの ある学校が見えてきました。「トランコンアイ中学校」の文字がはっきりと赤字で書かれています。

僕たちの車両が学校の前に到着すると、子供たちが既に整列して僕たちを待ち受けており、歓声が上がりました。 3年の歳月、不安を一気に吹き飛ばし、3年前の記憶が一瞬にして走馬灯のように想起された瞬間でした。 正門をくぐると日本の寄付者JAQUWA歓迎の垂れ幕が大きく掲げられており、 新しいドン校長先生、教職員のみなさんが温かく僕たちを迎えいれてくださいました。

国際NGOプラン・ベトナムのスタッフの皆様のきめの細かいサポートの元、3周年記念行事が速やかに開催されました。 始めに子供たちの代表からのスピーチ、そして、校長先生からのスピーチそして、子供たちのお祝いの歌と踊りの後に僕が皆様を代表してスピーチをさせていただき、そして、 新垣さんからも沖縄文化の紹介のスピーチをいただきました。その後、気温30度以上の炎天下の中、本校舎の前の広場で約30分のライブを行わせていただきました。

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●SET LIST

  1. JAQUWA/ blue <E7>
  2. mother universe 紫/murA-sAki <C#m>
  3. will eternAl <G#m>
  4. white wAll <Eb>
  5. 君の瞳/kimino:hitomi
  6. Qua Cau Gio Bay (ベトナム北部民謡)

●Personnel
Bass:三田貴之、Keybord:永原和将、Vo, Sax, 筝:武藤正人 masAto/

子供たちの好奇心いっぱいのきらきらしたまばゆい輝きのまなざしに見守られながら精一杯心をこめて、初のトリオ編成で演奏をさせていただきました。 特に印象的なのは今年の2月末にインドのニランジャナスクールで初演し、子供たちと歌った新曲"white wAll"をトランコンアイの子供たちとも共に、手を振りながら合唱できた事が感無量でした。

そして、ステージの最後では前回同様、ベトナム北部民謡として有名なQua Cau Gio Bayを先生方、子供たちをステージにお招きし、 共に合唱してフィナーレを迎え、あっという間の短いステージを無事に終えることが出来ました。

午後の交流会では、折り紙が大人気となり、1階の教室に60人以上の子供たちが押し寄せる中、5月の端午の節句にあやかり、かぶと、鶴、そして、Tシャツを子供たちに教えて盛り上がりました。

場所を2階に移し、前回同様、裏千家の略式で薄茶を点てさせていただき、地元の神様、校長先生他教職員の皆様、そして、子供たちにそれぞれ一碗づつ心をこめて献茶をさせていただきました。

楽しい夢のようなひと時は、一瞬にして流れ、日もゆっくりと傾き、いよいよお別れの時間となりました。
再びまたこの地に戻ってくること、そして、次回は自分の母校の日本の子供たちとトランコンアイの子供たちとの交流を推進することを誓い、子供たち、校長先生、教職員の皆様との名残を惜しみつつ、かの地を後にしました。

末筆ながら、今回のツアーのサポートを日本側からバックアップしていただいたプランジャパンの栂野さま、荻島さま、スタッフの皆様のきめ細かく、 迅速なサポート、および、プラン・ベトナムのスーさん、タオさんの現地での丁寧かつ的確なサポートにも感謝したいと思います。

そして、本プロジェクトをこれまで支援してくださったすべてのご支援者の皆様に心から感謝、御礼申し上げると共に、JAQUWA/寂和は今後とも このベトナムトランコンアイ中学校の支援、および、これに続く、新たなアジアの貧困地域に暮らす学童支援プロジェクト候補地の開拓を進めてまいります。

今後とも引き続き皆様のご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。